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League of Robot Runners 2026:RovnouがCombined Track 8位

July 28, 2026

BreakAIのロボット交通管制プロジェクト Rovnou は、Amazon Roboticsがスポンサーを務める大規模マルチロボット協調コンテスト「League of Robot Runners 2026」に参加しました。

メインラウンドの提出システムが閉じた時点で、Rovnouは公式Leaderboardの Combined Track 8位 です。表示上68件中8位(上位約12%)、スコア 5.55、完了タスク 134,905件。詳細画面に表示されたチームサイズは1名でした。

締切時点の順位と公式最終順位

主催者が参加者へ送った2026年7月24日のメールによると、今シーズンは69チームから3,361件の提出がありました。提出システムは閉じていますが、規約・参加資格の確認後に公式最終順位を決定し、8月7日に各TrackとLine Honoursの受賞者を発表する予定です。本記事では、確定した締切時点のLeaderboard順位と、審査後の公式最終順位を区別しています。

締切時点Leaderboard

順位チームスコア
1No Man’s Sky10.629
2SmartPath9.639
3Trzy Kwaterki7.034
8Rovnou5.55

Rovnouのスコアを構成したインスタンス別結果は次の通りです。

インスタンス完了タスクスコア
bos6,8680.433
fulfill-A15,7260.576
fulfill-B32,0650.438
fulfill-C10,0820.453
iron57,0450.423
maze-A1270.605
maze-B2080.813
orz4,8950.229
rand-A6,6420.330
room-A5800.591
room-B6670.658
合計134,9055.55

どのような競技だったのか

League of Robot Runnersは、倉庫物流や製造現場を想定し、多数のロボットが継続的にタスクを処理する問題を扱います。2026年は、経路計画とタスク割り当てに加えて、ロボットの動作遅延という不確実性が導入されました。

メインラウンドは2026年4月14日から7月22日(AOE、UTC-12)まで実施され、69チームが合計3,361件を提出しました。Combined Trackでは、参加者がタスク割り当て、経路計画、実行制御のすべてを担当します。

コンテスト期間中にできたこと

Rovnouの開発リポジトリでは、異なる地図や遅延条件に対して一律の設定を当てるのではなく、問題ごとのボトルネックを測定しながら改善を進めました。

  • 地図ごとにプランナー、スケジューラ、計算時間配分を切り替える構成
  • 向きを考慮した距離推定、経路ガイダンス、交通流の診断
  • タスク割り当て候補の絞り込みと距離計算の高速化
  • 狭い出入口で発生する停止を検出し、復旧する仕組み
  • PlanViz、ログ解析、同一バイナリのA/B・ABBA比較、実行元を確認する計測ガード
  • 本番経路と分離して検証できる独立プランナーと回帰テスト群

すべての実験がLeaderboardの改善につながったわけではありません。局所テストで伸びても評価環境では再現しない変更や、CPU使用率だけが増えてスループットが変わらない変更もありました。今回の成果には、採用した実装だけでなく、効果のなかった仮説を実測で棄却するための基盤も含まれます。

首位チームはどのように実装していたか

提供された26ページの資料「No Man’s Sky team — League of Robot Runners 2026 solution」から、首位チームの実装には次の特徴が確認できました。

1. メインスレッドを軽いディスパッチャに限定

シミュレータから毎tick呼ばれるメインスレッドでは重い探索をせず、状態取得、非同期ジョブの起動、結果の回収、計画の反映に集中しています。タスク割り当てはバックグラウンドのスケジューラスレッド、経路計画は非同期ワーカーが担当します。

2. 未来の実行境界を予測するWorldモデル

実行中のプリミティブ、遅延、すでに渡した行動列、タスク進捗を保持するWorldモデルを構築し、次に計画が必要になる境界まで状態を進めてから探索します。地図特性に応じて、実状態から同期的に解く SYNC_STEP、1行動先を予測する STEP、境界直前に起動する LEAD_STEP を使い分けています。

3. EPIBTXと並列LNS/ALNS

PIBT系の優先度継承・バックトラックを拡張したEPIBTXで初期解を構築し、その後に複数ワーカーのLarge Neighborhood Searchで局所的な待ちや詰まりを改善します。初期解の構築は品質を保つため単一スレッド、改善段階を並列化する分業です。

4. 正確な距離と交通ルールを共有

スケジューラは各ロボットについて近い100タスクを候補にし、疎なHungarian法とgreedy割り当てを組み合わせています。経路計画側ではGuidance Graph、PriorityField、HeuristicMatrix、DynamicHeuristicMatrixを使い、レーン方向、交差点、混雑を距離推定に反映しています。

5. 地図固有の仕組みを選択

資料で報告された最大の改善は、orzのlane Guidance Graphで +152%、fulfill-Cの LEAD_STEP+91%、ironの正確なGoalRows距離で +66% でした。汎用係数を一括調整するより、地図固有のボトルネックに合う計画モードとヒューリスティックを選ぶ方が大きく効いたとまとめています。

同資料は、87回の提出の約3分の1が回帰または切り分け実験だったとも記録しています。首位実装から得られる重要な教訓は、複雑なアルゴリズム名だけではなく、一度に一つの変更を測り、地図ごとに採否を判断する開発プロセスです。

なお、SmartPathやTrzy Kwaterkiの実装方法については、今回確認した資料だけでは裏付けられないため推測していません。

Rovnouにとっての意味

今回のLeaderboardは、Rovnouが11種類の大規模シナリオを通して、タスク割り当て、経路計画、遅延下の実行制御を一体で検証した結果です。一方、競技スコアは実倉庫での安全性、通信、既存FMS連携、保守性を直接証明するものではありません。

Rovnouでは、競技で得た地図別最適化、予測と同期の使い分け、再現可能な計測という知見を、実環境で検証可能な交通管制ソフトウェアへつなげていきます。

参照資料